▽自分の素直な気持ちを大切に 目標があれば全てが糧になる
山内:オリンピックでは「カワイイ」と書かれたマウスピースや「ひまわり」が話題でした。本日、お持ちになっているすてきなポーチもひまわり柄ですね。
鏡選手:このポーチは母の手作りなんです。ひまわりって、いつも太陽に向かって咲くじゃないですか。私もそんなふうにポジティブな人になりたいと思って、そこから好きになったんです。
「カワイイ」っていう言葉は、自分がカワイイって思ったらそれでいいと思っているんです。今日のビジュ(アル)いいな、みたいな感じで(笑)。他人の評価じゃなくて、自分の意思で自分を褒めることは大事。そういう意味での「カワイイ」なんです。
山内:大いに納得です。今は子どもたちと接する機会も多いと思いますが、自分らしい人生を歩んでいくためにはどんなことが必要だと伝えたいですか。
鏡選手:目標を持つことと、楽しむことが大切だと思います。最近は楽しむことに重きを置いている人の方が多い印象ですが、目標がないと達成したときの感情が曖昧になってしまいます。目標があると、自分の思いや考えも明確になるし、かなえられたときの喜びも、かなわなかったときの悔しさも、全部が糧になります。スポーツでも勉強でも、好きなことでもなんでも良いので、ぜひ自分なりの目標を持ってもらいたいですね。目標に向かって行動したことの結果は、後の自分にとって必要なことでもあるので、失敗を恐れずにどんどんチャレンジしてほしいです。
▽山形で過ごしながら思うこと 夢をかなえた後のこれから
山内:パリオリンピックを終えて、3年後のロサンゼルスや次なる目標についてはいかがですか。
鏡選手:ロスに向けて2連覇を期待していただけるのは、とてもありがたいことだと思っています。次に向けての気持ちも少しずつ固まりつつありますが、今はまだハッキリとした目標は言えません。自分で納得できる時期がきたら、皆さんにちゃんとお伝えしますね。私、絶対に有言実行したいタイプなので(笑)。
山内:山形にまつわるお話も伺いたいと思います。帰省したときに、どんなことを最初にしたいですか。
鏡選手:家族やいとこたちと一緒にごはんを食べることです。ただいつも、私が食べたいものよりも、みんなが私に食べさせたいものが先に出てくるんです(笑)。でもやっぱり、祖母のごはんは特別ですね。この前はお赤飯や炊き込みごはんを作ってくれました。
山内:山形の食べ物でいうと、何がお好きですか。
鏡選手:一番は、青菜漬けが好きです。あとは茄子漬けも。玉こんにゃく、芋煮、「ぬた」の団子も好きですね。好きなものはまだまだたくさんあります。
山内:最後に、パリオリンピックではもちろん、鏡選手を応援している山形市民の皆さんへのメッセージをお願いします。
鏡選手:オリンピックでは、本当にたくさんの応援をありがとうございました。皆さんからの応援はしっかり届いていましたし、それが私の支えにもなっていたので、心から感謝しています。この金メダルが、山形のレスリング界を盛り上げる一つのきっかけになればうれしいですし、これからも頑張っていきますので、引き続き応援をよろしくお願いします。
2025年、皆さんにとっても私にとっても、笑顔あふれる良い1年になりますようにと願っています。
2024年11月24日に開催された「山形市スポーツ栄誉賞授与式」と「令和6年度山形市スポーツ懇談会」。
冒頭のあいさつで、佐藤孝弘山形市長は鏡選手に「金メダル、輝いていますね。まさにひまわりのように見えますね」と述べた。
山形市スポーツ栄誉賞とは、オリンピックでのメダル獲得など競技スポーツで優秀な成績を収められた山形市出身選手に贈呈する賞であり、2010年バンクーバー冬季オリンピックで銅メダルを獲得された加藤条治選手以来、2人目の受賞となる。
《鏡優翔》
2001年9月14日、山形市生まれ。小学校1年生の時に栃木県宇都宮市へ。全国少年少女選手権5度優勝。JOCエリートアカデミーへ進み、2017~19年にインターハイ3連覇を達成。2019年の全日本選抜選手権女子76kg級では2位。同年、全日本選手権では68kg級に階級を落として、東京2020オリンピックの代表入りを目指したが、初戦で敗れて代表切符獲得ならず。2020年全日本選手権では76kg級に戻して優勝。2021年の全日本選手権と2022年全日本選抜選手権で勝利し、世界選手権に初出場。同大会の女子76kg級で銅メダルを獲得。2023年世界選手権では女子76kg級で初の世界一となる。2024年パリ2024オリンピック女子76kg級で優勝。サントリービバレッジソリューション(株)所属。
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